日記

なんとなく

初登校

大阪に来て初めて制服を着て、息子は別室登校が出来た。

 

すごくお膳立てされていたのよ。

笑うくらいに。

 

事の発端は、支援の先生からの電話でテストどうするー?だった。

 

今まで、そろそろ別室行かないと、でもなぁ、と葛藤はしてるんですが…あんたテストどうする?

と丁度隣に息子がいたので、電話しながら息子とも話していた。

先生が、声が聞きたいですー!と言ってくれたので電話を変わった。

 

のちに息子曰く『テストとか関係無く顔見せに来てよー。5分とかで帰っていいから(笑)様子見様子見!』と言われたので、じゃあ、行きます…と言ってしまったと言っていた。

 

必ず会う約束をすると、破った事のない息子だったけど、唯一前回のテストは行けなかった。

その事も踏まえてくれたのか、そう言ってくれた気軽さと、彼の中にぼちぼち自分でもせめて別室は慣れたいという思いが強かったのか、今回の登校はいつもよりため息もなく、うだうだという事もなかった。

私も旦那も何も言わなかった。

 

次の日の朝、なかなか起きなくて内心ではそれはそれは焦った。

でも普通に起きてきた。

娘が登校した後、いやとも何とも言わず制服に着替えた。

それよりも、筆箱どこだったか、上履きどこだったかでバタバタした。

玄関先で『…本当に30分で帰ってきたらごめんなさい…』とはにかみながら言われた。

 

びっくりしたけど笑い飛ばした。

ハナからそのつもりだろ。いいから先生に挨拶してきな。どのみち妹ちゃんも全校生徒も昼前に帰るからね。下校時間前には帰らないと、人がいっぱい出てくるから逆に早く帰っておいで。

 

普通に行ってきまーす。って行った。

 

なんとも拍子抜けな。

嬉し涙すら出そうで出ない。

 

知ってるか?自分で気付いているか?

大阪の学校で、初めて登校したんだぞ。

 

どんな表情で歩いて行ったのか、想像しながらやはり嬉しさが勝る。

これだけじゃない、ここからかもしれないし、明日は後退かもしれない。

分かってはいたけど、安堵が大きかった。

 

1時間半くらいの短い登校だったけれど、流れで社会のテスト受けてきた。と言った。

 

へー。よりによってあんたの嫌いな科目。

 

しまったなぁ…勉強しとけばよかった。

俺の好きな範囲だった。第二次世界大戦の時。銃の形も出る。面白そうだった。

 

ふーん。明日は数学あるんじゃない?それはどうすんの?

 

勉強しとく。明日の数学はやりたいな。出来るなら最低5教科は受けたいから…。

あとね、学ランのズボン入らなかったから、お父さんの黒のスラックス借りたって言ったら、他の先生が『いいよいいよ!言われなきゃ分かんない!』って言ってちょっと笑った。

 

そう、そう。

頑張ったらいいよ。着ないからもったいないと思って一枚しか買ってない白のポロシャツ、今晩すぐまた洗っとくから。

お父さんの黒のスラックス、またかけて置いておくから。なんならお父さんより似合ってるから。

 

少しずつ、本当に少しずつなんだよな。

何にもない家庭からすると、随分お膳立てして貰って、甘やかしているように見えるでしょ。

いいのよ。甘いのよ私。

今までキビキビ育ててしまった分、今から可愛い可愛いで育ててるんだから。

 

もうだって、今の子供達をどんなに足掻いてもまた育てる事なんて出来ないもの。

 

不登校児をもつお母さんからは、この中の短い文だけで『よかったねぇ!』と返事が貰えるのよ。

一瞬で悟ってくれるのね。ありがとうね。

 

スローペースの子供達は、本当に、いろんなことを気づかせてくれるわね。

 

あと、しばらくしてさっき『俺、頑張ってテスト受けれたし』って独りごちり呟いたのウケた。

あはは、頑張った頑張った!