日記

なんとなく

始業式は

昨日家の二階で片付けの最中、夕方ごろ、丁度私と旦那と息子になって、話の流れから中学の話になった。

 

息子は片付けで見つけた熊の手の形の孫の手をブラブラさせていて、私はタバコを吸っていて、旦那はコーヒーを飲んでいた。

 

妹の入学式は、一緒に行ってやってなと冗談交じりで話していた。

急に息子の顔が曇った。

 

どうしよう…怖いな…。

あの集団にまた入るの怖いな…。

 

片付けに使っていた新聞紙をポクポクと孫の手で叩きながら言っていた。

 

3ヶ月前は、行ってみようかな。

2ヶ月前は、行った方がいいんだろうな。

先月は、考えないようにしてる。だった。

今は怖いと言う。

 

あの集団とはまた違うよ。あの学校じゃないよ。

そう言っても顔は曇ったまま。

 

行った方がいいんだろうな。でもな…。

 

ポクポクと叩いていた手に、力が入って来て、引っ掻くように新聞紙をガリガリし出した。

旦那が色々と、無理はしなくていい、ただ、始業式の準備はさせてな?や、高校や大学ももしかしたら同じような集団かもしれないよ?など、ここで一発頑張ってみよう、案外すんなりかもしれないから。と言っていたが、どんどん息子の顔は曇り、新聞紙をガリガリしていた。

 

あぁ、それはあんまり言わなくてもいいのでは…と思ったけど、じゃあなんと言ったらいいのか分からなかったし、旦那の気持ちも思うと私は黙って聞くだけだった。

 

分かった…。まぁ、分かった。

 

そうボソッと言って息子は部屋に篭った。

途端に息子が可哀想で堪らなくなった。

今までの陰を落とした状態から、今の元気な状態が走馬灯みたく駆け巡って涙が溢れた。

 

たかだかあと一年の中学だよ。もう、いいんじゃないかな?ハナから適応指導教室に行くようにすれば、いいんじゃないかな?

準備もしない。始業式も、無理だと思う。

 

息子に勢いついて言ったのを自分でも瞬時に思ったのだろう旦那は、すぐに、泣きそうな顔で、うん。と言った。

 

謝ってくる。準備もやめるって言ってくる。

そう言ってすぐ息子の部屋に行った。

 

それから20分くらいして、旦那が帰って来た。

 

取り敢えずもう、準備はやめようと伝えた。

適応指導教室からスタートしようと言ったら、うん、って言った。

でも何より俺が余計な事を言った。高校も大学も中学と同じだと言ったから、不安をあおらせた。

可哀想に目を赤くさせて泣いていた。

俺のせいだ。俺が余計な事を言ったから。

元気に外に目を向けていたのに。

 

旦那はシクシク泣き出した。

 

私は性格が悪いからな。相手が泣くとこっちの涙は引っ込むんだ。

 

まぁ、でも、俺のおかげで本当に心底息子が集団生活が苦手なのが分かったよね。俺のおかげで。

 

と鼻をすすりながら言うから笑った。

どこで自分のフォローしてんだ。

 

 

横にはビリビリになって穴が空いた新聞紙があった。

息子の心情だと思う。

 

その後は晩御飯。

息子も降りて来てちゃんと食べた。

 

まだ少し静かだったけれど、私に軽口も叩いて来た。私もいつも通りに突っ込んだ。

 

その晩高速バスで旦那は大阪へ。

大阪の会社に挨拶をし、その後は引越し休暇を使って、娘の中学への転入手続きと、息子の適応指導教室を見てくると言っていた。

 

それでいいと思う。

 

不安や怖いを乗り越えさせて、挑戦するのは今じゃないと思う。

そう思って、それでいいと思う。

 

そう思ったら、本当にそれでいい気がして来た。